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ウェクスラー式成人知能検査Ⅳ(WAIS-Ⅳ)とは

概要と歴史的経緯

ウェクスラー式成人知能検査(WAIS-Ⅳ)は、世界で最も普及している成人用の知能検査のひとつです。Wechsler Adult Intelligence Scale – 4th editionの頭文字を取って、WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)と読んでいます。ウェクスラーという学者が開発した検査なのでウェクスラー式という訳です。

知能検査は元々、知的な遅れ、学習の遅れのある児童を早期に発見・診断するためのツールとして開発されましたが、21世紀以降は診断ツールとしてだけでなく、学習やお仕事が上手くいかない場合、「どこに原因があるのか」「どのような対策が可能か」を明らかにするためのツールとして利用できるよう改訂され、利用されるようになりました。

近年は自閉スペクトラム障害やADHDといった発達障害の診断補助資料として用いられることも増えてきましたが、あくまでもWAISは「知能を測定する検査」であって、「発達障害を発見する検査」ではない点に注意が必要です。WAISの結果だけで発達障害の診断はできません。


対象年齢:16歳0か月~90歳11か月の方
所要時間:概ね60分~90分

WAIS-Ⅳは何を測っているのか

「知能」という、とても幅広く漠然とした能力のうちのいくつかを限定して測定しています。
WAISが測定するのは知能の一部であり、この結果からではその人の能力すべてを語ることはできません。
WAISが測定しているのは以下の能力です。

・知識の習得をはじめとする言葉の力(言語理解VCI)
・目で見た情報を理解する力/目で見て推理する力(知覚推理PRI)
・一定時間、大事な情報を覚えておく力(ワーキングメモリーWMI)
・目で見た情報を判断しながら素早く作業する力(処理速度PSI)


WAIS-Ⅳでは測定できない能力

・言葉の力のなかでもリスニング力や文法の感受性に関わる領域
・聴いた音を分解したり文字にしたりする力(音韻意識)
・最近の食事や昨日いた場所などに関連した記憶と、その記憶を想起する力
・創造性の豊かさ
・感情を調節する力
・社会性、コミュニケーションスキル
・問題行動の直接の原因
・運動能力
・同時処理(マルチタスクの効率性)
・プランニング能力


WAIS-Ⅳの結果はどのように表示されるのか

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WAIS-Ⅳの結果の読み方

基本的に、数値が高い領域は得意分野、数値が低い領域は不得意分野と解釈できます。
実生活で勉学やお仕事上の困りごとがある場合、この得意分野と不得意分野のバランスが困りごとにどう影響しているのかを考えていくことになります。

・合成得点:同年代のその他大勢と比較したときの各能力の高さを数値で表しています。全検査(FSIQ)は4つの指標得点を合わせた総合成績のようなものです。どの指標も平均が100になるように設計されています。
・パーセンタイル:同世代が100人だとすると、自分が下から何番目に位置しているかを示しています。
・信頼区間:同じ検査に100回取り組んだ場合、90回はこの範囲に入るだろうという予測幅を示しています。


WAIS-Ⅳがどのように役に立つか

進学、就職、部署移動、転職などの環境変化を経験したあとから、仕事や勉強が「思うようにできない」と感じるようになった方には、新たな場所で求められるようになった課題と自分の得意ー不得意のミスマッチが起きていないかを探る一助になるかもしれません。

上手くいかない原因に目星をつけることができると、自ずと対策も考えやすくなります。

また、就職や転職など、これから環境の変化を控えているという方で、自分はどのようなことが得意なのかを知っておきたいという方のお役にも立てると思われます。


 

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